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ヘリコバクター・ピロリ菌について

ヘリコバクター・ピロリ菌に対する治療方針について

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息しているらせん形の細菌です。1983年に、ワレンとマーシャル(二人はピロリ菌の発見でノーベル賞を受賞しました)により発見されて以来、様々な疾患に深く関わっていることが明らかになってきました。慢性萎縮性胃炎の人のピロリ菌感染率は、ほぼ100%であり、胃潰瘍では70~90%、十二指腸潰瘍では90~95%の人がピロリ菌に感染していると考えられています。当院の検討でも胃潰瘍では82.5%、十二指腸潰瘍では92.5%の患者様がピロリ菌に感染していました。また、胃癌や胃ポリープ、胃悪性リンパ腫、血小板減少性紫斑病等との関わりを指摘する報告も見られます。ただ、ピロリ菌に感染しているからといって必ず潰瘍等になるわけではありません。ピロリ菌に感染した場合、胃炎が起こり、攻撃因子と防御因子のバランスが崩れ、潰瘍になりやすくなると考えるとわかりやすいでしょう。実際、ピロリ菌に感染して潰瘍になる人は、感染者全員の2~3%と言われています。

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染経路は?

ピロリ菌の感染経路はまだはっきりと決まっていませんが、口に介した感染(経口感染)が大部分であろうと考えられています。また、ピロリ菌の感染は衛生環境と関係していると考えられており、上下水道が十分に普及していなかった世代の人で高い感染率(40歳以上では70~80%)となっています。ただ、衛生環境が整った現代では、ピロリ菌の感染は著しく低下しており、あまり神経質になる必要はないでしょう。

<浅香正博先生の報告より>

ヘリコバクター・ピロリ菌の検査

ピロリ菌の有無を調べるには、大きく分けて内視鏡を使う方法と使わない方法があります。内視鏡を使う方法には、次の3つの方法があります。

迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌より作り出されるアンモニアを調べる。
検鏡法
採取した組織を染色して顕微鏡で観察する。
培養法
採取した組織を用いて培養しピロリ菌が増えるかどうか見る。

内視鏡を使用しない方法は、次の方法があります。

血清抗体測定
血液を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べる。
尿素呼気試験
検査用のお薬を飲み、一定時間後の呼気を調べる。

★現在、保険適応があるのはこの5つですが、最近では検便や検尿で調べられる方法も開発されています。これらの試験を複数行い、全てで陰性であったものをヘリコバクター・ピロリ菌陰性、1つでも陽性であるものを陽性と判定いたします。

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法

ヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法は下記の方法で行い、その効果・副作用は次の通りです。

▼ 方法
倍用量のPPIと2種類の抗生物質を1週間服用してもらいます。入院の必要はありません。
▼ 効果
80%~90%の患者様において除菌が出来ます。反対に10%~20%の患者様は除菌できません。
▼ 副作用
大きな副作用はありませんが、下痢・軟便を効率に認めます。その他、味覚障害や肝機能障害等が見られることがあります。いずれも重いものではありませんが、おかしいと思われた場合は中止する必要があります。それ以外に、除菌が成功したことにより、逆流性食道炎や、胃、十二指腸のびらんができることがあります。これは、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌により、胃が若返り、胃の酸分泌が回復することにより起こされるとされ、50歳以上の男性(喫煙者、高血圧症)に見られることが多いようです(5%)
▼ 費用
保険適応があり、3割負担で2,300円程度です。

ヘリコバクター・ピロリ菌の検査について、おわりに

今後、胃癌の関わりなどヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法は、保険適応が拡大される可能性がありますが、現在のところ胃・十二指腸潰瘍にのみ保険適応が認められています。そして、ピロリ菌を除菌することで再発をかなり予防できるようになりました。しかし、除菌できない人や除菌できても再発する人がいるのも確かです。副作用の問題もあり、除菌療法で胃・十二指腸潰瘍が全て解決するわけではありません。

除菌療法を行うかどうかは医師とよく相談してください。


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